社章とは? 役割・歴史・製作方法を徹底解説
「社章」と聞いて、あなたはどんなイメージを抱きますか?
単なる会社のマークではなく、そこには企業の歴史や誇り、そして社員の想いが凝縮されています。社章の持つ深い意味や役割、そして私たちの製作技術について、
専門家が詳しく解説します。
なぜ企業に必要か?
社章とは、社員が身につけることで、その企業の一員であることを示すバッジです。
しかし、その役割は単なる身分証明に留まりません。
- 帰属意識の向上 : 社員が自社への誇りや一体感を持ち、モチベーションを高めます。
- 企業の信頼性向上 : 外部の人間に対し、企業の理念や格式を視覚的に伝え、信頼感を与えます。
- ブランディング : コーポレートアイデンティティを象徴するアイテムとして、企業のブランド力を高めます。
社章の歴史と文化的背景
社章の起源は非常に古く、その歴史は社会の変遷とともに進化してきました。単なる所属を示す印から、企業の理念や文化を象徴する重要なアイテムへと役割を変えてきた歴史を、日本の視点を中心に解説します。
徽章の起源と日本の歴史
社章のルーツは、古くから存在する「徽章(きしょう)」にあります。徽章は「しるし」「旗印」といった意味を持ち、古代から身分や所属を示すために使われてきました。
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戦国時代:武家社会では家紋が徽章の役割を果たしました。家紋は、その家柄や身分、そして戦場での所属を明確にするための重要なシンボルでした。
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明治時代以降:日本の近代化が進み、西洋の文化が流入すると、家紋のような伝統的な徽章は、会社や組織が自らのアイデンティティを示すための「バッジ」へと変化していきました。この頃から、徽章を専門に製造する「徽章屋」が誕生し、勲章やメダル、そして企業の社章を製作するようになりました。特に、西洋の技術を取り入れた七宝焼きなどの高度な加工技術が、社章の美しさを高めることに貢献しました。
社章が持つ意味合いの変化
初期の社章は、主に「身分証明」や「所属の証明」としての役割が中心でした。しかし、時代が進むにつれて、その意味合いはより多面的になっていきます。
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企業の象徴:社章は、会社のロゴやマークをかたどった、いわば「身につける企業ロゴ」です。社員が身につけることで、顧客や取引先に対し、会社の信頼性や統一感をアピールする効果があります。
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社員のエンゲージメント:社章を着用することで、社員は企業の一員であるという帰属意識や誇りを感じることができます。特に、新入社員に初めて社章が手渡される瞬間は、企業への第一歩を踏み出す象徴的なイベントとなっています。
このように、社章は歴史の中で「身分を示す道具」から「企業の理念や社員の誇りを象徴するシンボル」へと、その役割を進化させてきたのです。現在でも、多くの企業が社章を大切にし、そのデザインや品質にこだわりを持っています。
社章の製作方法と素材の種類
高品質な社章は、熟練の職人技と厳選された素材から生まれます。
主要な製作方法
■フリクションプレス 金属打ち抜き加工
フリクションプレスによる金属の打ち抜き加工は、主に「型打ち」(打刻)工程の後に、製品の外形を正確に切り出すために行われます。
フリクションプレスはその強力な打撃力と摩擦熱を利用して、金属板に企業のロゴや社章などの模様を深く刻み込みます。この工程を「型打ち」といいます。
その後、別の抜き型を使って、型打ちされたデザインの周りの余分な金属部分を切り取ります。
この工程を「トリミング」や「打ち抜き」と呼びます。これにより、最終的な製品の形状が完成します。
この方法は、特に社章の精密で複雑な形状が求められる製品の製造に不可欠です。
主な素材の種類
■真鍮(しんちゅう)
社章製作で真鍮が一般的に使われる理由は、その優れた加工性と耐熱性にあります。
真鍮は比較的柔らかいため、フリクションプレスの強力な打撃力と摩擦熱によって、複雑な形状や精密な模様に成形しやすいという特徴があります。
これにより、細かなディテールが求められる社章の製造に特に適しています。
フリクションプレスの加工では摩擦熱が発生しますが、真鍮は熱間加工に適した材料であるため、割れやひびが生じにくく、安定した品質の製品を効率的に生産できます。
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一部の仕上げでは「丹銅」を材料として使用します。理由は社章の仕上げ方法の一つに、ガラス質の釉薬を焼き付けて色を出す「七宝仕上げ」があります。丹銅は七宝釉薬を焼き付ける際の高温に耐性があり、他の金属に比べて変形しにくいという特長を持っています。
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■純銀
社章製作で純銀が一般的に使われる理由は、その高級感とステータスにあります。
純銀は貴金属の一種であり、独特の美しい白い輝きを持っています。
真鍮や丹銅などの一般的な金属に比べて、見た目の高級感が格段に増します。これにより、社章を身につける社員のステータスを高め、会社への誇りを醸成する効果があります。
特に、役員や特定の功績を挙げた社員など、特別な階級や役割を示すための社章に純銀が使われるケースが多く見られます。材質で階級分けをすることで、社員のモチベーション向上にもつながります。
また、コストと品質のバランスがよく、純金やプラチナに比べると、純銀は貴金属の中では比較的安価です。
そのため、「全社員に高品質な社章を身につけてもらいたい」と考える会社にとって、コストと品質のバランスが取れた理想的な選択肢となります。
※製作上、「ロジウムメッキ」が必須となります。
■純金・プラチナ
社章製作で純金・プラチナが一般的に使われる理由は、その権威と希少性にあります。
貴金属は、その希少性と美しさから、古くから権力や富の象徴とされてきました。社章に貴金属を用いることは、会社そのものの品格、信頼性、格式の高さを社内外に示すことになります。
また、貴金属はそれ自体が資産としての価値を持っています。特に純金やプラチナは、国際相場で取引されるため、実物としての価値が安定しています。これにより、社章が単なる装飾品ではなく、会社から授与される「価値ある品」としての意味合いを強めます。
※製作上、純金には「金メッキ」、プラチナには「ロジウムメッキ」が必須となります。
その他の仕上げ方法については「→ 仕上げ方法」のページをご覧ください。
社章の正しい付け方と金具の種類
せっかくの社章も、正しく身につけなければ効果は半減してしまいます。一般的なマナーをご紹介します。
【男性の場合】
スーツのジャケットの左胸、フラワーホール(襟のボタン穴)に通すのが基本です。ワイシャツの場合は、左胸のポケット上部や、襟の左側に付けます。
【女性の場合】
ジャケットやブラウスの左胸、または左襟元に付けるのが一般的です。ブラウスの生地が薄い場合は、生地を傷つけない工夫が必要です。
代表的な裏金具の種類
タイタック(針式)
ロータリーネジ式
ワニ口クリップ
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タイタックは、針をシャツやジャケットに通し、裏から金具で留めて固定するタイプの留め具です。
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ロータリーネジ式は、本体の裏側にあるネジを、スーツの襟にある「フラワーホール(ラペルピンホール)」と呼ばれるボタンホールのような穴に通し、裏側から金具(キャッチ)を回して固定するタイプです。
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ワニ口クリップは、衣服に穴を開けずに挟んで留めるタイプの金具です。
その名の通り、ワニの口のように挟む形状をしており、主に名札や簡易的なバッジに使用されます。社章としては、特にクールビズなどでジャケットを着用しない際や、衣服に穴を開けたくない場合に選ばれることがあります。
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その他の金具については「→ 裏金具・ケース」のページをご覧ください。
私たちの品質へのこだわり
「社章・バッチ製作の専門家として、安心して任せて頂けるようベストを尽くします!」
私たちは、この信念のもと、一つひとつの社章に魂を込めて製作しています。創業以来培ってきた技術と、お客様の想いを形にする丁寧なヒアリングで、お客様にとって唯一無二の社章をお届けします。
社章・バッチ製作でお悩みの場合は…
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仕上げ方法など、製造工場ならではのプロの視点で的確にアドバイスさせていただきます。
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